Festina Lente

帰ってきた「常日頃の思い」。題名はローマのことわざ「ゆっくり急げ」。

3年目

早いものでロンドンに来てから丸2年が経ち、こちらでの生活も3年目に。

任期はだいたい3年ぐらい?と言われて来たので、会社都合で多少前後することも考えるともう1年以内に帰国するかもしれない…と、考えると本当に早い。

そうすると、今のうちにいろいろ行っておかなければとも思うけど、これは多分帰るのが半年後だろうが1年後だろうが1年半後だろうが、どうせその時なりに心残りがあるだろうからあまり無理しなくていいかな、とも思う。

恐らく名所旧跡よりも日常の社会の進み方だとか周りの人たちの雰囲気だとか、あるいはこちらでの仕事の内容だとかの方が帰国してから惜しまれるだろうから、やっぱり普段の日々を淡々とかつ有意義に過ごしていくのが一番かな、と。

 

そんな日常の一コマの中で言えば、イギリスのビールはきっと帰国後に恋しくなるであろう物の1つだと思う。

こっちに来る前はイギリスの酒と言えばウイスキーかジンだと思っていたけれど、それはイメージ程では無くて、それより街のそこら中にあるパブとそのカウンターに色々と並ぶビールがすっかりイギリスでの酒の風景として馴染んでしまった。

どのパブも様々なビールを置いているし、飲み方も日本とはまた違い、たかがビールだけどされどビール。新しい発見がいろいろある。

さらにはパブという場所自体も奥が深くて、これは数年の滞在で理解しきれるようなものではないけれど、それでもその面白さの一端は十分に感じられる。

幸か不幸か、気ままに時間を使えた独身時代とは違って今はそうそう飲んでばかりもいられず多くは行けていないけれど、健康のことを考えるとそれで本当に良かったと思う。

五反田

風の噂で聞いたけど、東京で働いていた頃に良く通っていた五反田ガード下の立ち食い寿司屋が用地の関係で閉店することになったらしい。

さらに場所も時期も異なるけど武蔵小山の駅前も再開発されてしまうらしく、なんだかあの頃に楽しく過ごしていた場所場所が、日本に帰る頃にはけっこう無くなっているということになってしまいそうだ。

まあ街も生き物なので時の流れで色々変わっていくのは自然なことかもしれないけど、大げさに言えばああいう昭和の風景が無くなってしまうのは少し寂しいね。

 

それにしても、寿司屋は惜しい。

安い割にうまい、ちゃんとネタに季節感がある、夜遅くまでやっていて(慣れれば)居心地も良い、ということで仕事帰りに寄るにはいい場所だった。

ほとんど人とは行かず一人だったけど、客の大半を占める同じようなサラリーマン達の話を聞くのもなかなか面白かった。

帰国したらぜひまた行きたいと思っていただけに残念だ。

外国にいると、この手の店の貴重さが身に染みる。

 

五反田にはもう1軒、父に教えてもらった素晴らしい飲み屋もあったけど、ここは店主が結構お年だったのでいつまでも営業はしていなそうだし、やはり次に東京で過ごす時はまた新たに色々開拓しないといけないだろうな。

 

その点、100年以上の老舗がごろごろしてるロンドンは頼もしいけど、もうちょっと食べ物はがんばってほしい。

この頃

そういえば随分と久しぶりのブログになってしまいました。

気が付けばもう2017年。最近来たばかりと思っていたロンドンでの生活も2年目の後半。

いやいや、この歳になると本当に時が過ぎるのが早い、と実感する今日この頃。

せっかく外地で暮らしているので些細なことでも色々発信していけたら面白いなぁと思って、まあ今でも少し思ってはいるんだけど、書くつもりでいたブログも蓋を開けてみるとなかなか書かないもので、あっという間に時が過ぎてしまいました。

 

こうして全く環境の違うところでしばらく暮らしていると、自分で気付いていることも気付いていないことも、多くの変化が自分の中ではあってこれは本当に面白いんだけども、最近は段々と日本にいた時のスタンダードがわからなくなってきてもいて、さて何を書けば面白いのやら、という感じでもあります。

 

まあ、概して言えば相変わらず元気にやっています。

 

食べ物なども流石ロンドン、ほとんどの物はお金さえ出せば手に入りほとんど不自由しないのですが、この前、ロンドンで手に入らないものは?という話題になりつい正直に「コハダとアナゴ」と答えてしまいました。

ロンドンの寿司も世界的にはかなりレベルが高い方だと思うのですが、やはりこういった職人さんがひと手間加えるような物はお目にかかるのが難しいのです。かつ安価な。

コハダがうまかったガード下の寿司屋を懐かしく思うこの頃です。

 

ロンドンに来て最初のうちに思ったこと

6月も中旬となり、ロンドンに来てから早くも1か月半、いまの家に住み始めてからも1か月近く経つことになってしまった。

さすがに1か月もいると色々なことに慣れてくるもので、仕事はともかく生活面では何となく何事もやり過ごせるようになってきた気がする。

逆に、こっちに慣れてくると日本の感覚を忘れてくるもので、きっと後になるとそれに気づきさえもしなくなるだろうから今のうちに雑談がてら書いておこうと思う。

 

というわけで、最初はびっくりしたけど慣れてきてしまったこと…

 

1.いろんな人がいる。

来日する外国人が増えてきているとはいえ日本はまだまだ日本人だらけなのに対し、ロンドンは外人だらけ。

見た目も違えば言葉も違い、地下鉄の中でもレストランの中でも毎日英語以外の言葉も当たり前のように耳にする。

そんなわけで英語が下手でもそれほど気にされないし、何より見た目も言葉も違う人がこれだけいると同調圧力など働きようがない。

 

2.エスカレーターが速い。

ロンドンの地下鉄は路線によるけど平均的には東京より地下深い気がし、

そしてそのせいかエスカレーターの速度が速い。

イメージ的には東急線の横浜駅と同じかもっと早いぐらいで、これはぜひ日本も見習ってほしい。

お年寄りには少々きつそうな気もするけど、そういえば意外とこちらの地下鉄はバリアフリーとかそういう配慮は日本に比べればゼロに等しく、ホームとの隙間は大きいしエレベーターは少ないしエスカレーターすら無いところも多い。

でも、きっとお年寄りだとかで何かあると周りが手助けしてくれる感じはある。

他のことでもそうだけど、こちらではハード面を新しくすることで物事を解決するという発想があまり無い気がする。

なお、エスカレーターは右側に立つ大阪スタイル。けっこうみんな守っている。

 

3.地下鉄の路上ライブ

駅によるけれど、日本と違い地下鉄の構内では路上ライブをやってるのをよく目にする。

で、これが大概レベルが高い。

恐らく、誰もができるのではなく何らかの許可をもらってやっているような感じがするので選考とかがあるのかもしれない。

ジャンルは様々で、アコギ弾き語りからリズム音源をバックにギターをひたすら弾いてるやつ、サックスもいればチェロ弾いてるのもいて個人的にはけっこう興味があるがゆっくり聴いている時間も場所も無いのが残念。

 

4.道路横断は自己責任

信号は割と整備されているけど、みんなあんまり守らない。

一方、車は車で信号が赤でない限りはがんがん走ってくるので結構危ない。

雰囲気的に、別に信号守らなくてもいいけど自分でひかれないように気をつけてね、って感じ。

あと横断歩道の足元にLook LeftとかRightだとか書いてあってどっちから車が来る道路なのか(どっちを見てから渡ればよいか)わかるのは良い。

 

5.意外と和食レストランが多い

繁華街を歩いていれば1軒や2軒は和食っぽいレストランが視界に入り、日本食にありつくのに苦労するということは無い。

でも、日本人が経営していてちゃんと日本人的にもおいしいレストランとなるとやはり限られる…。

とは言っても、じゃあ中国人だとか他の人がやってる和食レストランが悪しきまがい物か?と言われると少し弁護してあげたくなる気もして、というのも、これはマジでうまい!と納得できるような本格的な和食レストランは高過ぎて、例えば俺のような若造では会社の接待ならともかくプライベートではとても行けるような金額ではない。

在英日本人、しかも接待メインだとか、あるいはお金持ちの現地の人しか行かないレストランが良い店かというと、そういう店も大切だけどそれだけでは困るのも事実。

日本人経営でなくとも、それなりの品質をそれなりの値段で出すところがあれば、それはやっぱり評価しないといけないんじゃないかなーとも思う。

(もちろん、まがい物を平気で出す店があるのもまた事実)

東京にいた時も思ったけれど、すごく高くてすごくおいしい店は必要だけれどもそれはある意味当たり前で、多くの市井の人のためには100点でなくともそれなりに安くておいしいものを出す店が必要だしそこが腕の見せ所。

東京にはそういうお店もたくさんあったけど、ここロンドンでもそういう安くてうまい和食を出す日本人の店がもっとポピュラーになってほしい…。

よくわからないが、一昔前に日本でフランス料理というと高い、みたいな感じで、少なくとも日本資本のところはその段階から抜け出せていないのでは、と思う。

 

よくよく考えると、どれも同じように気風の違いが感じられて面白い。

復活

早いもので前回このブログをアップしてから1年以上経ってしまった。

あれから色々あったなー。5月のベトナム珍道中についてアップできなかったのはちょっともったいなかった…。

何より、今年になってからは2月に結婚、そして4月末からは仕事の都合でイギリスはロンドンでの生活がスタート、この空白の期間は本当に激動の期間でもありました。

 

で、ようやく辛うじてロンドンでの新居も定まり少しは自分の時間もできたので、せっかくだからこのブログも復活させて、ここでのことを今後の記録のためにも時々書こうかなと思います。

そういえばこのブログを始めた時のきっかけの1つも、かつて住んでいた舞鶴あたりのことを書き残しておこう、ってことだったのでちょうど良いかと思う。

 

さて、ロンドン。

ああだこうだと書けるほどまだ経験していないけれど、とりあえずの印象。

①思ったより寒い。

②日が長い。

③物価が高い。

④ビールがうまい

⑤歴史と伝統≒不便

 

いや、ほんとに思ったより寒かったのが意外で、日本を出た4月後半はもうだいぶ温かくなってきてスーツ着て歩くと暑いなって感じだったので大して服を持たずに来たらこちらは朝晩は10度以下。

さすがに今はだいぶ暖かくなってきた気がするけど、それでもまだスーツにネクタイで暑くないっていうか時々涼しいぐらい。

まあ真夏になっても大して暑くならないというのは暑がりの自分にとっては良いことで、どっちがいいかって言ったら東京よりこっちの方が良さそうな感じがする。

しかし天気が変わりやすいのは本当で、晴れてても雨降ってきたり、それもすぐやんだりする。先日は雹まで降ってきた。

 

②、そんなわけでまだまだロンドンは涼しいけれど、高緯度に位置するために日はすごく長くてかなり違和感がある。

だいたい夜は9時ぐらいまで明るく、だいぶ慣れたけど最初はかなり時間間隔が狂った。晩御飯食べながら飲み始めてもまだまだ外が明るいってのは不思議。

まあこれも基本的にはありがたいことだけれども、逆に冬は夜が長くなるということなのでそこがちょっと心配…。

冬のロンドンの夜の長さはけっこう気が滅入るものらしく、マジな話これで季節性のうつになることもよくあるとか。

 

③、物価の高さはけっこうきつく、もちろん物によるけれどだいたい日本の1.5~2倍ぐらいの印象。

野菜とか肉はそうでもない気もするが、特に外食、あと電化製品なんかも高い気がする。家賃は論外に高い。

ただしこれは為替レートもあるだろうから一概に言えないところもあるかもしれない。

体感的にはもし1ポンドが100円とか120円ぐらいだったらちょうどいいかなーという感じなんだけど、いま1ポンドが180~190円ぐらいなのでやはり2倍近い。

でもビールは比較的安いかも。

 

④、ビールと言えば、ロンドンはビール党にはかなり良い街。

まずパブがそこらじゅうにあるし、1パイントで2~高くて5ポンドで、他の物の物価と比較すれば値段的にも悪くない。

そして何より種類が豊富。

最近は日本でも色んなビールが飲めるようになったけれど、こちらではどこのパブでもけっこうな種類がある様子。

特にさすがにエールの種類が豊富で個人的にはこれが嬉しい。ぬるいし苦いけどそれがまたいい。

冷たいラガー派の人にも優しく、というか恐らくこっちでも今はラガーの方が流行っているのか、欧州系のビールはだいたい置いてある。

街全体の雰囲気として、パブでビールを飲むのがかなり生活に溶け込んでいる感じで明るいうちから飲んでも全然OK、これはありがたい。

 

⑤、街並みは都心部も含めて非常に重厚な歴史ある建物ばかりで、外から眺める分にはロンドンのイメージ通りでなかなか壮観。

会社の事務所があるロンドンのビジネス街、シティー周辺もかっこいい建物ばかり。

なんだけど、その裏返しなのか設備面ではいろいろ問題もあり…。

一番わかりやすいのが地下鉄で、さすが世界最初の地下鉄、トンネルが小さいためか路線によっては車両がけっこう狭く、ホームとの段差とか時々半端ない。

車両が古かった頃の銀座線みたいな感じか…。

このあたりは、ロンドン名物の一つなのでまたぼちぼち書こうと思う。

雑3

3月11日、震災から3年、ふと色々と思いだした。

あの日はまだ舞鶴にいた時なので自分は地震の揺れは一切感じていない。

なので残念ながら関東の人とでさえ、身をもって体験したこととか、味わった感情だとかは正直言って共有できないところがある。

しかしそれでも、むしろ渦中にいなかったからこそ、気付けたことも多くあったように思っている。

 

また、あの頃は偶然にも、公開を目的としない紙の日記をつけていた貴重な時期(わずか半年弱で挫折)なので、地震発生前・当日・その後の日常を断片的ではあるがかなりリアルに追想することができる。

さっき多分3年ぶりに見てみたら、当時の心情や、インターネットにアップするわけでもないから仕事での動きも少し書いてあったりして、そのリアルさに感心するとともに、既に忘れてしまっていることがたくさんあって驚いた。

 

いずれにしても、今に至るその後の推移も含めて、自分にとっては良くも悪くもものすごく多くのことを学べて(適切な表現かはわからないが)、物事の考え方にも強い影響を与えた経験だったのは間違いない。

雑2

先週に続いて、今週末も長い付き合いの仲間内での飲み。

公私ともに色々なシチュエーションでお酒を飲む機会があるけれど、やっぱりこういうのが一番いい。

自分はお酒が入るといつもに増して余計な事を主張し出してしまうところがあり、これでも最近はかなり気をつけてはいるんだけど、まあこういう会なら許されるかな…とも思ったり。

というより思い返してみれば、話す内容やレベルは変われども、中学生ぐらいの時からずっと同じようなスタイルで変わらず語り合ってた気がする。

内容的な面ではなく姿勢として、話が通じるというのはすごく重要なことで、大事にしたいね。

 

一方で、そういう場所以外では発信も受信も減らしていった方がいいかなと最近思うようになってきた。

いい歳になったから少し落ち着こうってのがひとつ。

それと、最近の風潮としてフィルターのかかってないことを重視しすぎた主張が多いのに馴染みにくいというのもある。

中庸だとか、大げさに言えば良識のフィルターはあるべきかと。