Festina Lente

帰ってきた「常日頃の思い」。題名はローマのことわざ「ゆっくり急げ」。

丹後・若狭 その2

今日はかなり早めに帰れたので近所でランニングして、そのあと晩ご飯も兼ねてひとり飲み。

舞鶴でずっと一人だったせいもあり(というと何か悲しいが)ひとり飲みは得意技。

特にいま住んでいる元住吉には昭和ノリの店がまだまだ健在で、仕事帰りに男一人でってのがむしろスタンダードっぽい気さえする。

そういう店にはこれからもぜひ残ってほしい。

今夜の店のおやじなんて確実にプロフェッショナル、無駄の無い包丁さばきだった。

 

さて、そんなわけで昨日に引き続き舞鶴の話。

 

舞鶴ってどんなところ?というのに一言で答えるならばやはり「軍港の町」だろうか。

あんな僻地にあるにも関わらずそれなりに名前が通ってるのはやはり旧軍時代に鎮守府が、今でも海上自衛隊の5つの総監部のうち1つがおかれていることに負うところが大きいのだろう。

人口は確か8万か9万。小さい町の多い北近畿地方の中では相当大きい部類に入る。

そう、舞鶴はあの地域ではけっして田舎ではなく、むしろ行政とかそういう点から見ると地方の拠点となっている町なのだ。

実際、裁判所もあるしパスポートだって作れるんだよね。

 

面白いのは、町が「東舞鶴」と「西舞鶴」に分断されていて、その成り立ちの違いから雰囲気や人の性格までも違うと言われている点。

「東」が明治時代に海軍の軍港を作るために新たに作られた町で、「西」はかつて細川幽斎が治めた城下町が元になっている。

ざっくり言うと、「東」はホテルや飲み屋が多くやや繁華街的、「西」は古いものが多く落ち着いている感じかな。

まあ、東西あるとはいえ小さな町、全体を通して見るとやはり海上自衛隊のおひざもと、というのがよそから見たときの特色だろう。

 

生まれ育った横須賀も、自衛隊が多いけれど体感的には舞鶴ほどではなかった。

舞鶴は、なんていうかもう石を投げれば当たるって感じなのだ。

何よりわかりやすい違いとしては、みなさん普通に制服で通勤してるもんだから、通勤時間帯の道路や帰りのころのスーパーなんかで、階級章をつけてる人たちとしばしば出会うというところか。

なんだかもう日常的な風景で、慣れるとなんとも思わなくなるけれども、そういえば横須賀ではあまり見ない光景だと思う。

夜飲み屋に行けばだいたい自衛隊の人がいるし、隣のテーブルから「うちの伍長がさ…」とか「あー俺明日は当直なんだよなぁ」とか聞こえてくるのも日常茶飯事。良く考えると面白いよね。

 

そうそう、あと自衛隊と言えば、舞鶴では軍艦が停泊する岸壁がもろ国道沿いで、これまた石でも投げれば当たりそうな距離にある。

しかもこの岸壁、土日はいつも一般に公開して船を間近で見れるし、特に訓練とかが無ければ船の上にさえ乗っけてくれるのだ。

まあ、乗っけてくれるのは古い「ゆき」クラス限定ではありますが。

この見学、予約なんて不要で、門でちょっと名前書くぐらいでできる。

自衛隊の都合で今日は岸壁で見るだけです、とか、今日は岸壁からもダメですって時があるとはいえ、多分軍艦が好きな人にはたまらない場所だろう。

 

と、自衛隊トークが長くなってしまったので他の事を。

 

地理的に見ると、舞鶴は複雑な湾の奥に位置しているために、その海岸線の造形がなかなか美しい。

展望台からみるとすごくきれいなのです。

(正面が湾口側。左右には深く湾が続く)

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(上の写真の右側の湾の奥。造船所があるあたりは湖みたい)

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その地形からか、大潮のときでさえ干満の差はわずか数十センチというのも面白い。

釣り人的にはこれはすごく驚いた…。なお、造船所で船を進水させるときなんかも便利。

 

自衛隊以外の大きいものとしては、造船所、ガラス工場、関電の火力発電所があり、全体的になかなか昭和な2次産業の雰囲気。

小樽行きのフェリーが毎日出てることでも有名かな。

あとは、年配の人には「岸壁の母」に代表される戦後の引き揚げのストーリーだろうか。

 

そう言えば、個人的にずっと興味があったのは、舞鶴には全国規模チェーン店がかなり少ないということ。

多分何かしらかの形でのブロックがあって、こういうところから俺は閉鎖性を感じてしまうのだけれど、よく考えてみると 全国どこの田舎も同じような店ばかりになって

 いる現在、この規模の町で独自性を保っているのはすごいことなんじゃないか?という気もする。しかし不思議。

 

あと基本的なこととしては、夏は暑く冬は寒く湿気の多い厳しい気候、若狭湾のうまい魚介類、京都市内とは全然違う方言、高速のおかげで実は神戸が行きやすい…などなど。

総じて言うと、けっこう特殊な町なんじゃなかろうか。

 

 

まあ、あまり細かいことを書いても単なるローカルネタになってしまうからこの辺で差し控えよう。

仕事柄よくお客さんを案内してたもんだから、話そうと思えば相当話せてしまうのだけれど…。

 

さらに今さらながらにカミングアウトすると、俺が向こうで気に入って、離れたくないななんて思ったのは舞鶴そのものよりも、すぐ近くにある福井県高浜町や小浜市、西に目を向ければ京都府宮津市京丹後市だったりするのだ。

そのうち、続きとしてそっちの方の話も書いていこうと思う。

 

ま、あんまりこういうことばっかり書くと日記じゃなくなってしまうからほどほどにしようと思います。